家族の位牌を、故人が好きだった素材で作りました。ネットで「手作り位牌」と検索すると、ペットの位牌は出てきますが、人の位牌ではなかなか出てこないようです。人の魂が宿る大切なものを手作りなんて、普通は考えないのかもしれないですね。

でも私たちは、大事なものだからこそ、買ってきた位牌に魂を入れるのではなく、亡くなった故人にちなんだその人らしい位牌にしたいと思いました。その方が愛着がわくので、故人のためにも、そして自分たちのためにもいいと判断したのです。

既製品に感じる味気なさ

位牌といえば、黒塗りで文字を彫ったものが一般的です。よく見るとデザインは様々ですが、イメージ的には昔の仏壇によくある、どれも似たようなものです。
祖父母や親の家にあればそれが当たり前でしたが、いざ自分の家に置くとなると、あの昔からある位牌には、なかなか心が向きません。

故人らしく、かつ故人が喜んでくれるものにしたいという気持ちと、位牌とはいえ、家に置くなら気に入ったものを置きたいという気持ちがありました。

色や形がモダンであったり、クリスタル製のものは既製品であります。モダンな位牌も素敵ですし、クリスタルもきれいですが、故人らしさを考えると、それも物足りなく思いました。

その人らしい位牌とはどんなものか

故人はある木材をたいへん気に入っていました。そして位牌を検討していた丁度その頃、その思い入れが想像以上であったことを知りました。

過去に私は故人からその木材を2つ貰っていました。それがどんなにいい木か、聞いた気もしますが、何しろ20年以上前のことなので、よくは覚えていません。とにかく、その木材は丈夫で見た目も美しく木のいい香りがします。

そこで、この木を使って位牌を作れないだろうか、と思いつきました。

位牌は、亡くなった人の魂が還るところと聞きます。その木に惚れ込んでいた故人の魂が還るところとしてこれ以上のものはないと考えたのです。

手作り位牌のオーダー

手作りといっても、流石に自分の手で形作る自信はありません。まずは、故人と取引きがあった工務店に駄目元で電話してみました。すると思いがけず「(機械がないので)細かい細工はできないが、形を作ることはできる」との返事で「仏具店に依頼すれば細かい細工をつけてもらえるのではないか」との助言もいただきました。

仏具店に問い合わせると、一社のみ、オーダーメイドに対応してくれるところがあったのですが、四十九日の法要に間に合わせるには日数が足りなかったため、仏具店に細かい細工と戒名彫りを依頼することは断念しました。

細工はせず工務店で位牌の形にしてもらい、文字は筆で入れます。こだわりの木材で作る位牌ですから、かえってその方が素朴で味わいがありそうです。

相談の対応が一番良かった、お仏壇のはせがわ

位牌のオーダーメイドはしていないというところがほとんどの中「お仏壇のはせがわ」さんだけが取り引きのある(または自社の?)職人さんに問い合わせをして、どんな対応が可能で、日数は何日くらいかかるかを回答してくれました。

TVコマーシャルでよく見る大手の仏具屋さんということで、逆に敬遠していたのですが、実際にはとても丁寧な対応でした。イレギュラーな問い合わせだったにもかかわらず、こちらの話を詳しく聞いてくださり、職人さんからの回答も丁寧に伝えてくれたのです。

職人さんは、関西にいると聞いて「それでは送料もかかりますね」と言うと「他のものと一緒に送るので送料自体はかかりません」とお答えいただき、大手ならではの対応、と感動しました。

今回は日数的に無理があったのでオーダーできませんでしたが、今後仏具を購入することがあれば、まず「お仏壇のはせがわ」を検討したいと思います。

位牌の文字入れ

形作られた位牌への文字入れは、筆で直接木に書きます。通常は塗装をしたあとに文字を彫るのだそうですが、塗装は次の理由でやめました。

1.位牌を形作ってくれた工務店で「塗装をすると木がだめになる」と言われた。
2.塗装をすると木の良い匂いがしなくなる。
3.塗装をして文字を彫るには日数が足りない。

仏具屋さんに依頼する時間がない場合位牌に入れる文字を誰にお願いするか、お寺の知り合いに相談したところ、「筆で書くなら、戒名の名付け親であるご住職に書いてもらうべき」と助言をいただきました。確かに依頼する側からしても、お寺で書いてもらうのが一番間違いがなく安心です。

完成した手作り位牌

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工務店、お寺のご住職、知人の助言など、皆さまのおかげで完成した位牌。家にあった他の位牌より横幅や奥行が広くどっしりとした印象です。木に直接筆で書いた位牌は、素朴で味わいがあります。そして位牌の形にするときに削ったためか、加工前より木の匂いがするようです。

写真の一番左が、工務店の代表が上棟前の忙しい中、夜なべして作ってくださった位牌です。

重ねてあるだけではなく、中心に芯となる木を通してあるそうです。
主観的な感想ですが、昔からある位牌には少し怖いイメージがあります。ですが、木の素材を活かした位牌は温かみのあるものになりました。

ご住職に書いてもらった戒名の最後に「霊位」とあります。ご先祖の位牌にはなかったので、あれ?と思い、調べました。ネットの情報では、次の場合に「霊位」が使われる、とあります。

1.先祖代々の位牌とする場合
2.戒名がない場合

今回はいずれにも該当しないのに、何故「霊位」なのか疑問に思い、先述のお寺の知り合いに聞いてみました。結果としては「霊位」とは「魂がここにいます」という意味なので、このケースでも問題ないそうです。

完成した位牌を見ると、忙しい中特異な依頼にお応えいただいた皆様への感謝の思いが湧いてきます。故人に手を合わせながら、助けていただいた方々に感謝しています。

手作り位牌覚書

・位牌に使う木は半年くらい乾燥したものを使う。
・塗装は、透き漆が多いが、日数がない場合は、ニスを使う方法もある。
・ニスを塗るとにじみが少なく(1名の位牌を複数人にする場合など)書いた字を
 消すことができる。
・時間が十分にあれば、某大手仏具店で、細かい細工、塗装、戒名彫りを依頼する
 こともできそう。
 そのときの文字を彫る料金は、機械彫り:¥5,400円。手彫り:1字につき、500~700円
 (2017年11月現在)

最近は、生前に自分の位牌を用意する方もいます。手作りを考える方は少ないと思いますが、位牌を購入しなければならないという決まりはありません。DIYが得意な方は、家族やご自分の位牌を手作りできるかもしれませんね。